ファッションの一部として、夏のまぶしい日差しに備えて、心が躍るサングラス選び。フレームのデザインやカラーの好みはもちろん、ライフスタイルに添った快適さも大切です。ここではレンズ自体の機能に踏み込んで解説します。
紫外線カットや遮光性など、視覚を守る機能に加えて「偏光レンズ」のメリットは感性に直接届くものです。一度使えばすぐに実感。アウトドアに、日常のシーンに、これまでの景色は違う、クリアで快適な世界が広がります。
偏光レンズってどんなもの?
「偏光レンズ」は、無数の方向に反射する自然界の光を、一定の方向に整える働きを持っています。揺らいだ水面やガラス窓、目に見えない小さなチリの反射まで、まぶしい視界の乱反射光を除去。偏光レンズのアイウェアを一度試せば一目瞭然。目に優しく、コントラストや色彩をダイレクトに感じられるクリアな視界に驚くはずです。
偏光レンズの仕組みを解説
偏光レンズの仕組みについて解説します。20世紀の偉大な発明家、エドウェン・H・ランドが開発したこの技術は、カメラなどの光学機器、電子機器の分野でも幅広く用いられています。従来は多層構造の「偏光フィルム」タイプが主流でしたが、近年では、解像度と自由度を高めた「偏光レンズコート」タイプも支持されています。
乱反射光をカットする特殊な構造
レンズ一枚で激変するクリアな視界の仕組みとは? 偏光レンズの機能の要は「偏光フィルター(偏光膜コーティング)」です。偏光フィルターは、レンズに対して垂直方向の光のみを透過。水面や窓ガラスから拡散する乱反射光がカットされ、まぶしさやギラつきを低減。対称の輪郭や色彩をはっきりクリアに見通すことができます。
偏光フィルムタイプの偏光レンズ
2層のレンズの間に「偏光フィルター」が挟み込まれた多層構造の偏光レンズです。ベーシックな偏光レンズとして広く用いられています。レンズの厚みによってフレーム選びが制限される点、熱膨張や水分の進入によるトラブルなど、構造的な弱点を理解して選択しましょう。
偏光レンズコートタイプの偏光レンズ
レンズ表面に「偏光膜」が圧着された偏光レンズです。コーティングタイプなので、単焦点の球面レンズタイプだけでなく、非球面設計など薄型に仕上がるレンズ設計や遠近両用レンズにも対応が可能です。偏光フィルムがないためフチなしやナイロールタイプなど、フレームの選択肢も広がります。
日常にも使われる偏光フィルター
偏光フィルターは乱反射光を整える繊細なスリット構造で設計されています。その働きの強弱「偏光度」は、昼間は強め、夜間は弱めが使いやすいなど、使い手によって適した度数が変わってきます。また、偏光フィルターは3Dメガネや液晶ディスプレイ、カメラのレンズフィルターなど、日常で目にする様々なシーンでも活躍しています。
偏光レンズとサングラスの見分け方
手元のメガネやサングラスが、偏光レンズか否かを確かめる方法はいくつかあります。ひとつはスマホやパソコンの画面を見る角度によって、画面が真っ暗で見えなくなるポイントがあるかどうか。もうひとつは複数枚のレンズを用いる方法です。偏光レンズ同士を90度と180度で重ねると、スリット構造が縦横に交わって視界が暗くなります。
サングラスや調光レンズにないメリット
明るさをカットする、紫外線をカットする。サングラスや調光レンズが持つ機能に加えて、偏光レンズは対象の輪郭や色彩をクリアに捉える機能を持つのが特徴です。釣りやゴルフ、ウィンタースポーツなど、自然の中で過ごすシーンはもちろん、複雑に乱反射光する都市部の景観も目に優しく、心地よい光を感じることができます。
デメリットも知って快適に使いこなそう
使いやすくて目に優しい。とはいえ、全てのシチュエーションで良好な視界を得られる訳ではありません。偏光レンズの優れた性能を知ると同時に、苦手とするシーンを知っておくことも大切です。使用環境やお手入れによってレンズ性能の劣化が早まるリスクもあります。3つのポイントを抑えて、快適に使いこなしていきましょう。
偏光レンズは液晶ディスプレイが見えにくい
偏光レンズ越しに液晶ディスプレイを見ると、画面の暗さや滲みを感じることがあります。カーナビ、スマートフォン、パソコンなど、デジタル機器の液晶には偏光フィルターが使われており、偏光レンズと液晶双方の偏光フィルターが交差して光を遮断するためです。見えにくさを感じたら、アイウェアを取り外すことをおすすめします。
偏光レンズはデリケート。熱や水には慎重に
偏光レンズは熱と水が苦手です。レンズと偏光フィルターの熱膨張率の違いが原因で起こる剥離、水分の進入による剥離によって歪みを生じる可能性があります。夏の車内や直射日光は避けて日陰に保管。水洗い後は水分を拭き取って乾燥させましょう。普通のメガネと同様、優しく丁寧に扱えば不意のトラブルを避けられます。
偏光レンズのお手入れで注意すること
熱湯での洗浄、長時間の浸水は避けてください。軽い水洗いを経て、残った水分はティッシュなどで拭き取り、付属のレンズクロス、または市販のレンズクロスを使って丁寧に拭き上げ、自然乾燥で仕上げます。正しいケアを身につけて、より長く、より快適な使用感をキープしましょう。
偏光レンズの選び方のポイント
偏光レンズ選びの前に知っておきたい、2つのポイントをお伝えします。「偏光度」と「可視光透過率」、どちらも普段あまり耳にしない言葉ですが、使い手のライフスタイルに適した加減に導く、とても便利な数値です。幾つかのレンズを比べるなかで、専門家の声にも耳を傾けながら、自分にぴったりの偏光レンズを見つけてください。
乱反射光をカットする「偏光度」をチェック
まずは乱反射光をカットする割合、「偏光度」をチェックしましょう。偏光レンズと定義される偏光度は90%以上。数値が高いほど、目に優しく、輪郭や色彩が際立つクリアな視界を得られます。一概には言えませんが、偏光度の向上と比例して、視界の明るさは低下する傾向があります。使うシーンや好みに応じた選択も大切です。
「可視光透過率(レンズ濃度)」をチェック
あわせて「可視光透過率」も大切な要素です。可視光透過率の数値が低いほど、レンズの濃度が濃くなり、日差しを多くカットします。一般的に日中は20〜30%前後、夜明けや日暮れは40%前後が推奨されます。光の感じ方、用いるシチュエーションには個人差があります。複数のレンズを屋内、屋外で比較することをおすすめします。
用途で使い分ける、おすすめのレンズカラー
使い手の個性が表現される、偏光レンズのレンズカラー。好みや直感で選ぶことも正解ですが、ライフスタイルや用途に適したカラーを知れば、もっと快適に、ずっと使い続けたくなるレンズに出会えます。ここでは代表的な3カラーの特性を解説。海、山、街並み。大好きなシーンを想像しながら、自分にぴったりを探しましょう。
ドライブやサイクリングには、グレー系のレンズ
ドライブやサイクリングなど、路面や周囲の認知が大切なシーンには「グレー系」の偏光レンズが適しています。路面や建物からの照り返し、乱反射光を抑制。自然な色調で安全に走行を楽しめます。グレー系レンズの持つベーシックな印象は、幅広いファッションに馴染みやすく、最初の一本としても人気が高いカラーです。
釣りやスキー場には、ブラウン系のレンズ
釣りやマリンスポーツ、雪山のアクティビティでは「ブラウン系」の偏光レンズが支持されています。ブラウン系のカラーには、揺らぎの強い水面や、奥行きを捉えにくい雪面のコントラストを高めて、地形を認識しやすくする効果があります。グレー系と同様、彩度が自然に感じられ、長時間使用でも疲れを感じにくいカラーです。
ゴルフやキャンプには、グリーン系のレンズ
キャンプや登山、ゴルフなどのシーンには「グリーン系レンズ」がぴったりです。風に揺れる木の葉、ランダムに反射する木漏れ日、燦々と眩い光を、同系色のレンズで緩和。深みと落ち着きのある景観に変えてくれます。クラシカルで個性的な表情。早朝や夕方、曇天下でも、景色を明るく捉えやすいのもグリーン系の特徴です
交換レンズタイプのフレームもおすすめ
シーン、天候、時間帯よって適したカラーがあるとはいえ、幾つものフレームを用意するのは大変です。そんな悩みを解消するのが「交換レンズタイプ」。複数のレンズカラーを同封、または付け替え可能な偏光レンズがラインナップされたフレームは、その日、その時に最適な視界が求められるアスリートを中心に支持されています。