
「偏光サングラス(偏光レンズ)」というアイウェアをご存知ですか? アウトドアやスポーツのシーンで支持されてきたストレスのないクリアな視界、眩しさやギラつきを抑える機能性を、日常使いのサングラスとして選ぶ方が増えてきました。
ここでは偏光サングラスを使うメリットや選び方、UVカットのサングラスや調光レンズとの違い、シチュエーションに合わせたおすすめのカラーレンズなど、偏光サングラスが持つ特有の魅力を詳しくお伝えしていきます。
偏光サングラスは光の乱反射を抑えてくれる
偏光サングラスとは、眩しさや紫外線などを抑えるサングラスに「偏光」機能を備えたアイテムです。レンズの間に挟み込まれた特殊なフィルムやレンズ表面のコーティングで、水面や雪面、ガラスなどの構造物から乱反射する光を一方向に整えて、輪郭や色彩のコントラストを明瞭に捉えたクリアな視界を得ることができます。

偏光レンズについてはこちら「偏光レンズのクリアな視界」
偏光サングラスのレンズの性能を表す数値
メガネにとって度数の数値が大切なように、偏光サングラスにとって大切な性能を表す2つの数値があります。光の眩しさをカットする「視感光透過率」、乱反射する光をクリアに整える「偏光度」。一人一人に適した偏光サングラスと出会うために、それぞれの数値が指している意味と使い方に応じた数値の選び方を解説します。

「視感透過率」は時間帯や用途に応じて
「視感透過率」はサングラスのレンズを通して取り込む光の量を表す数値です。0〜100%で表記され、数値が小さいほど光をカットする割合が大きくなり、数値が大きいほど光を通す量が多くなります。日差しの強いシチュエーションでは10%前後、早朝や夕方は40%前後、平均的な選択は20〜30%と、用途によって適正な数値があります。
「偏光度」はストレス軽減の目安に
「偏光度」は光の乱反射をカットする度合いを表し、数値が高いほど明瞭でストレスの少ない視界を得られます。偏光度90%以上で「偏光レンズ」と定義され、最高値は99%です。偏光度の数値が高いほど、視感光透過率の数値は低くなり、反比例するバランスから自分にとって最適を見つけることが偏光サングラス選びのポイントになります。
偏光サングラスを購入するメリット
偏光サングラスの特徴に続いて、偏光サングラスを購入する具体的なメリットをお伝えします。使ってすぐに実感するクリアな視界、使いながら実感していくストレスの少なさ。どちらもこれまで偏光サングラスを試したことのない方には想像しにくいものだと思います。デメリットの少ない偏光サングラス特有の価値を知ってください。

偏光サングラスのメリット1|明瞭な視界を得られる
初めて偏光サングラスを使うと、通常のサングラスとは異なる明瞭な視界に驚くでしょう。水面の反射や路面の照り返し、運転中のフロントガラスの映り込みなど普段気づきにくい乱反射が、クリアに整った視界が広がります。屋外でのスポーツやアクティビティなど、視認性が重視される場面では特に、明瞭な視界で安全性が高まります。
偏光サングラスのメリット2|目の負担を軽減できる
眩しさやギラつく乱反射に目を凝らす場面が続くと、知らずのうちに目の負担が増幅してしまいます。視界を妨げる反射光をカットする偏光サングラスは、視覚機能へのダメージはもちろん、心理的なストレスによる疲労も合わせて軽減できるアイテムです。サングラスのレンズを選ぶ時、優先したいメリットとして覚えておいてください。
UVカットレンズ・調光レンズとの比較
ここまで解説した偏光サングラスの機能は、他の機能と合わせて一本のサングラスのなかに併用することもできます。目に有害な紫外線をカットする「UVカット」の機能は幅広いユーザーに求められており、ご存知の方も多いでしょう。光の強さ、紫外線の量に応じてレンズの色の濃度が自動的に変化する「調光レンズ」機能も便利です。

UVカットレンズは紫外線対策に効果的
眼鏡専門店で販売をするメガネレンズの多くは無色でも「UVカット」機能がついています。無色のメガネでも紫外線対策は可能です。まぶしさを軽減してUV対策をしたい場合はカラー付きレンズやサングラスを使用しましょう。また市販のサングラスを購入する際は、紫外線カット率99%以上のサングラスを選ぶことをおすすめします。
UVカットレンズは色の濃いレンズで眩しさを抑える場合が多いですが、偏光サングラスは極端に濃い色のレンズでなくても光の反射を一部押さえるため、眩さを感じにくい特徴があります。
調光レンズサングラスはシーンに柔軟に対応
屋内や夜間の環境では一見普通のメガネのような無色透明なレンズとして、紫外線量や気温に応じてレンズの色が濃く変化してサングラスとして使えるのが「調光レンズ」です。メガネとして、サングラスとして日常のシーンに柔軟に対応。複数のアイウェアを持ち出す手間がなく、荷物を減らしたい旅行用などでの使用もおすすめです。
TPOで選ぶ偏光サングラスのカラーレンズ
レディース、メンズを問わず、色とりどりのレンズカラーはサングラス選びの楽しみのひとつ。ファッション性で選ぶのも正解ですが、ここではレンズ色によって異なる機能性をポイントに解説します。スポーツ用途やドライブ用途など、あらかじめ目的が定まっているならなおさら。レンズの色彩がシーンを快適にサポートします。
釣りやゴルフで重宝する偏光レンズのカラー
船釣りや陸釣りで重宝するのは、水面の乱反射光を抑えて水面下を見渡しやすいブラウンなど赤系のレンズです。赤系のレンズはゴルフとも相性が良く、緑の芝の状態を認識しやすいと支持されています。視界のコントラストが高いため、長時間連続で使用すると疲れ目を感じる場合は、彩度の低いグレー系の色調をおすすめします。

アウトドア全般に適した偏光レンズのカラー
キャンプなどアウトドア全般におすすめのレンズカラーはグリーン系です。木の葉に反射してギラつく光など、自然界の光の刺激をマイルドに整えてくれる効果があります。また、周囲を明るく見渡せる効果があるのも特徴です。曇天や朝夕の時間帯にも、グリーン系のレンズは他のカラーに比べて明るい視界を得ることができます。

運転用途に支持される偏光レンズのカラー
ドライブ中に思わず目を細めてしまう反射光への対策は、快適で安全な運転を行うために大切なことです。自然光やビルの灯り、対向車のライトなど様々な光を受ける運転中には、幅広い対象をカバーするグレー系のレンズが適しています。夜間など暗い時間帯には黄色やオレンジ系、視感透過率の高いレンズをおすすめします。

偏光サングラス選びで注意するポイント
初めて偏光サングラスを使う場合は特に、偏光レンズ特有の注意点を覚えておいてください。アウトドアやスポーツサングラスとして使われることも多い偏光レンズですが、通常のレンズと比べてデリケートな一面があります。また、フレームとの相性も知っておきたいポイント。具体的な相性は専門スタッフのアドバイスを仰ぎましょう。

偏光サングラスの注意点1|取り扱いはデリケートに
偏光フィルムや偏光コーティングは熱と水に弱い特性があります。長時間高温にさらす、長時間濡れたまま放置するとフィルムの変形で機能が損なわれる場合があります。普通のサングラスに比べてデリケートな取り扱いを心がければ問題ありませんが、夏場の車内への放置は避け、マリンスポーツでの使用にも注意を払いましょう。
偏光サングラスの注意点2|レンズに厚みが出る場合も
フィルムタイプの偏光レンズは2枚のレンズで偏光フィルムを挟み込んでいる構造上、通常のメガネ・サングラスのレンズに比べ厚みが出る場合があります。目視では感じられない程度のわずかな厚みの違いですが、度入りでオーダーする場合には気になるかも知れません。
コーティングタイプの偏光レンズは近視用・遠視用などの単焦点レンズから、遠近両用など設計はもちろん、薄型タイプの設計にも対応しています。使用したいフレームにも制限がありません。ご自身のほしい偏光サングラスはどんなものがいいのか、見え方や使いたいフレームやシーンなどをまずは眼鏡専門店のスタッフにしっかり相談し、どちらのタイプの偏光レンズがいいか聞いてみましょう。
偏光サングラスの注意点3|フレーム選びに制約がある
フレーム選びはアイウェアの醍醐味ですが、タイプによってフィルム形式の偏光レンズが選択できないこともあります。レンズに溝を掘って装着するハーフリムや、レンズに穴を開けてパーツを取り付けるリムレスのフレームは、偏光フィルムが傷つく可能性があるためです。
コーティングタイプの偏光レンズはフレームの形状は選びません。釣りなど水にかかわる場所での使用の場合はフィルム形式のものは、はさんでいる間から使用していくうちに水が入ってしまう可能性もあります。使用目的を眼鏡専門店スタッフに相談し偏光レンズをどちらのタイプにするか決定しましょう。
偏光サングラスが気になったらまずはお店へ
いつもの景色をクリアに変える。偏光サングラスの魅力をお伝えしました。初めての一本は特に、適切なアドバイスを受けられるメガネ専門店で手に取ることをおすすめします。なりたい自分に近づくメガネ選びのコツ、レンズカラーの選び方ついて、老眼鏡や遠近両用レンズの選び方など、メガネに関する様々なコラムをご用意しています。

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